タロットカード「魔術師」 解釈・鑑定例
タロットカード大アルカナの世界観について、私なりの解釈でわかりやすくご紹介します。
一般的に幅広くご使用されている「ウエイト版(ライダー版)」を使用しています。
あくまでも「私のリーディングにおいて」という事なので、これが全てではありません。
鑑定結果で理解を深めたいと思った時にご参考になさって下さい。
1 The Magician
「魔術師」
目次
カードに描かれているもの
・「1」という番号。
・赤いバラと白いユリ
・白い衣装に赤のガウン
・頭上にインフィニティ
・机に4つの道具
・右手にワンドを持ち天に掲げている
・左手は地を指さしている
彼は今から何をしようとしているんでしょうか。
絵から読み取る意味・解説
まず、「1」という数字。
ここから始まる・スタートを意味します。
これはアクションを起こすと言う方がわかりやすいかもしれません。
「愚者」の時にお話ししました「愚者」が産まれる直前だとすると、「魔術師」は産まれたばかりの赤ちゃん。
何かを訴えるために泣く、おっぱいを探し当てるという「生きる」ための本能という道具を持って生まれてきます。
そして歩くという最終目標のために失敗を恐れず無我夢中でバタ足・寝返り・ハイハイ・つかまり立ちと、常に前向きに与えられた能力をフル活用しながら、経験をスキルに変えながら誰の手も借りずにやり遂げていきます。
カードに戻りましょう。
衣装や花に見る白と赤は「純粋」と「情熱」を表しています。
その前にこのポーズは何を表しているんでしょうか。
天に向かって情熱のワンドを掲げ、天からのエネルギーを受け取り、地に流す。
すなわち自分自身の中から純粋に沸き起こるインスピレーションや情熱を現実化するエネルギーの始まりが起こっていると読みます。
この純粋な情熱こそが白と赤に表現されています。
理屈や根拠など無いところで湧き上がる衝動とでもいうのでしょうか、それこそが創造への第一歩であると考えます。
机の上の道具はワンド(火)・カップ(水)・ソード(空気)・ペンタクル(地)の4大元素を表しています。
それぞれ情熱や意志・感情やイメージ・思考やコミュニケーション・物質や経験などを主に象徴するモチーフです。
これらの道具はもう揃っています、どう使うかはあなた次第。
実際のマジシャンも色んな道具を使いこなし、魔法のような現実離れした世界を見せる事が出来ますよね。
一つ一つはただの道具で、持っているだけでは価値を発揮しませんが、使い方ひとつでどんな事でも成しえる魔法の道具となることでしょう。
頭上のインフィニティは、自分自身の意志をもって何かを創り出すエネルギーは無限の可能性を持っていると物語っています。
鑑定例
※鑑定例の掲載は、個人情報が特定されないよう配慮・ご本人による文章の確認のうえご了解を頂いております。
E.M 様の場合(40代・パート)
友達が事業を始める事になり、サポートして欲しいとお誘いを受けました。
長年お世話になっている会社を辞めて、そちらに移る事が良いのか悪いのかよくわかりません。
仲の良い友達からの誘いだし、その事業は私も興味のある分野なので楽しそうですが、今の職場は慣れているし嫌な所も特に無いんです。
正直どうすればいいか悩んでいます。
どちらに行ったらいいでしょうか。よろしくお願いします。
そんなお悩みのご相談に対して「魔術師」のカードが出てきました。
E様 こんにちは。
お友達に事業を手伝ってほしいというお誘いがあったんですね。
それはE様の人となりをよく理解した上での依頼でしょうから、とても真面目でそのお仕事に適性が感じられるお人柄なんでしょうね。
カードを読む前に一つお伝えしておきたい事があります。
タロットカードは良いカードや悪いカードがあるわけではありません。
なので、こちらにしなさいというような指示をする事もありません。
それでは、考える材料としてカードを読んで行きますね。
魔術師のカードは、直観に従い現実化に向けてスタートを切るという意味があります。
慣れ親しんだ今の職場から離れる事に不安を感じられてるようですが、新しい環境も魅力的ではあるようですね。
ここでご自身で問いかけて頂きたいのは、今純粋に心が惹かれているのはどちらでしょうか。
「いろんな条件や理屈を抜きにして、天からのエネルギーに導かれるまま、純粋に心が惹かれるものに従うことで望む形に実現する事ができるんだよ。
そして、その望むものに対して必要なものは全て揃ってるじゃないか。」と言っています。
それに気づき、それらをどのように使うかはE様次第です。
ここで言う道具は、情熱や意志・感情や感性・思考やコミュニケーション・物質や経験というものです。
何か感じるものはありましたか?
E様の生活環境や経済状況なども当然考慮しなくてはいけないところですが、タロットの世界に人間の通念というものは関与しないので少し難しいかもしれませんね。
ただ物事を考える時に、あまりにも心の声を無視した所で考えるのも個人的には精神衛生上おすすめはできません。
お友達だから、必要とされたから断るのは悪いから受けるという考えもまたご自身の意思とは言えません。
お悩みを持つ時とは、変化のタイミングであるとも言われます。
このままがいいという意思があれば悩む事はありませんよね。
このお悩みを通して何か思う事や感じる事があるかもしれません。
もしかしたら、選択肢は2つとは限らないかもしれませんよ。
今回のお悩みの本質は、心を開き、ご自身の本当の心の声を聞くタイミングを知らせるものなのかもしれませんね。
E様の選択がどのようなものであっても、ご自身の意思である限り望む未来に一番近いものとなるでしょう。
鑑定後の考察
魔術師のカードには自己という大きなテーマが隠れています。
「私が創造する。」
自分の直観に従い、自分に与えられたスキルや道具で、自分の責任において物事を創造する。
自分以外のものの影響は受けない完全な「個」の意志というものをベースに考えないといけません。
今回のお悩みもそうですが、いろいろなしがらみの多い社会生活を送る中ではなかなか自分を出すという事は難しいかもしれませんね。
でも、何か違和感や不本意であると自覚した時から心は少しずつ消耗していくと思います。
どこかに変化を求めている自分が居て、どこかで安定を求めて変化を嫌う自分もいる。
それはどちらも悪い事ではありません。
また、どちらを選んでも非難されるような事でもありません。
もっと自分を信じて、自分自身の気持ちを大事に扱う事で見えてくるものがあるんじゃないでしょうか。
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