タロットカード「法王・司祭」 解釈・鑑定例
タロットカード大アルカナの世界観について、私なりの解釈でわかりやすくご紹介します。
一般的に幅広くご使用されている「ウエイト版(ライダー版)」を使用しています。
あくまでも「私のリーディングにおいて」という事なので、これが全てではありません。
鑑定結果で理解を深めたいと思った時にご参考になさって下さい。
5 The Hierophant
「法王・司祭」
目次
カードに描かれているもの
・背景がグレー
・白い衣服の上に赤いローブ
・三重の冠と三重の十字架
・法王に向かっている2人の人物(信者)
・2人の人物の衣服にはバラとユリ
・足元にクロスした鍵
絵から読み取る意味・解説
皇帝と同じく赤いローブを身にまとっています。ここから権力者であり強い意志と熱意を感じます。
しかし法王は赤いローブの下に白い衣服を身に着けている事から、闘志や力では無く、純粋さや理性に裏打ちされた精神の持ち主であることが示されています。
2本の大きな柱を含む背景のグレーは、白黒や何か相反するものというよりは、あくまで中立性が強調され、普遍的な教えを授けていることを意味します。
そして、黄金の冠と杖は3段になっており、父と子と精霊の三位一体を表しています。
世界観としては、世俗的な権威が優れているのではなく、神の祝福を行う絶対的な権威の象徴ということになります。
そして、右手は神の祝福を与えるサインで、「上の如く、下も然り」天の如く地上もあれ、という意味です。
ここでようやく他者との関りという意味も含めて複数の人物が出てきました。
教え教えられ、従う者というのようなものを見る事が出来ます。
二人の信者の衣服ですが、一人には赤いバラが描かれ、もう一人には白いユリが描かれており、それぞれ愛と純潔さを意味していると考えられます。
最後に2つの鍵ですが、これは天と地を結ぶ鍵と言われていますが、2つあるのは信者が2人いる事でそれぞれ天と地を結ぶ鍵は「愛」と「純潔さ」であるという事を表しているのかもしれません。
まとめると、理性と強い意志を持つ権力者である法王が、世俗的な良し悪しとは無縁の中立な立場で、「愛」隣人を大切にすること、「純潔さ」欲にまみれない気持ちを保つこと、これこそが天と地を結びつけ、神の祝福を得る鍵だと教えてくれているのではないでしょうか。
鑑定例
※鑑定例の掲載は、個人情報が特定されないよう配慮・ご本人による文章の確認のうえご了解を頂いております。
N.K. 様の場合(50代・主婦)
はじめまして。
夫の両親も高齢になり、半年ほど前から同居をする事になったんですが、お姑さんとあまり上手くいかなくて困っています。
私のする事にあれこれと意見する事が多くストレスもたまります。
良い対処法があればいいんですが・・・。
宜しくお願いします。
そんなお悩みのご相談に対して「法王・司祭」のカードが出てきました。
Nさん、はじめまして、ご相談ありがとうございます。
これまで長年離れて生活していたのに、同居されたんですね。
それはとても愛情に満ちた勇気のあるご決断でしたね。
いざ同居となるとあれこれとNさんのやり方に意見されてストレスが溜まるということですね。
そうしましたら、カードで解決のヒント読んで行きますね。
「法王」のカードは、教えを信じるという意味があります。
今までのやり方はNさんが慣れ親しんだ、これが最善だと自分の中で信じてきているものですよね。
そういうものが人それぞれにあるというだけの事なんですが、今同居を決断されたという事は、性質も習慣も異なる人との集団生活を受け入れる覚悟をされたという事ではないのでしょうか。
2つの家のホームマスターが一つに集結した時、当然意見が分かれる事もあるでしょう。
そこにはNさんの「私の家なんだから私のやり方で」という主導権の主張や、お姑さんのキャリアや年齢、立場などの優位性、「嫁は親に従うべき」といった心情もあるかもしれませんね。
どちらも正当性を武器に戦っている訳です。
でもどちらも仲良くしたいはず。
自分の思い通りになれば仲良く出来るのかもしれません。
しかし、一方を立てれば一方が立たずとなり、結局上手くいかなくなり、そもそもの同居の意味も見失ってしまいます。
そこでカードは、一度教えに従ってみては?と言っています。
もっとフラットにシンプルに物事を見てみましょう。
ご両親を受け入れる時の気持ちや、同居の動機などをもう一度よく考えてみて下さい。
そして、家事に関してもどちらのやり方も悪いという事はありません。
長年の経験から生まれたやり方があるかもしれないし、そのやり方で育った旦那様もいる事ですし。
あまり勝ち負けのような考え方をすると、嫁の立場上、気を使って譲る事も多いはずですし、そうなる度に自分だけが苦しい思いをする事になります。
なんならこの管轄はお母さんにお任せ~♪ぐらいの気持ちでもいいのではないでしょうか。
幸い高齢と言ってもお元気そうなので、健康のために動いてもらいましょう!
冗談はさておき、感情だけで物事を判断しないで、ニュートラルな気持ちで受け入れてみましょう。
同居の動機は「愛情」という部分が大きかったのではないでしょうか。
どうする事が、相手に対しての愛情なのかを考えて見られるといいかもしれませんね。
決して意見を曲げて屈する事を申し上げている訳ではありません。
気持ち的に、はなから受け付けないという所を一度受け入れてみるという感じです。
法王からの一言
「人と関わる事は学びである。頑なにならずに従い、より良いものを生み出しなさい。
受け入れられる喜びを知り、感謝されることでしょう。」
以上になります。
Nさんのご多幸をお祈り申し上げます。ありがとうございました。
鑑定後の考察
タロットカードが生まれた頃というのは、国を治める権力者として「皇帝」と「法王」が2大巨塔として君臨していました。
現実社会を取り仕切る「皇帝」と精神世界を取り仕切る「法王」。
真の実力者はどっち?なんて今の時代だからなのか、日本に居るから思う事なのかもしれませんね。
社会や現実世界の中の「正しさ」を表す皇帝と、道徳や人としての「正しさ」を表す法王が居てこそ、秩序ある世界が成り立つわけですね。
今回のご相談ではNさんのご相談だったので、「意見されることに対して従う」という事をお答えしましたが、これは時と場合によってはどちらの立場になるかはわかりません。
私の占いやご相談に対するお答えは、あくまでもご相談者様がアクションを起こすという事が前提ですのでこうなるんですね。
タロットってある意味自由なので、その時に法王の方にピンときたら「優しく愛を持って教えてあげなさい」なんて答えになるかもしれませんが(笑)
これもご相談者様とのやり取りの中で感じる雰囲気や文面からくるエネルギー、ご相談内容の背景などを感じながら読むようにしているので何が模範解答なのかはわかりませんが、その時その時出たカードの世界観に浸って読むように心がけています。
ということで、今回は法王なので「愛」と「慈悲」、そして「他者との関り」に浸りながらお返事させて頂きました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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