理想と現実の狭間で揺れる心【メール鑑定事例】
やりたい事(理想)があるのに、生活(現実)を優先して他の仕事に就いている方は多いですよね。
今回ご相談頂いたお客様も、若い頃から好きで楽しんでやれるお仕事があるのに、生活の不安や独立に対する自信の無さで一歩を踏み出せず、会社員として他のお仕事に就いておられます。
最近心身のバランスを崩されて、心残りである好きなお仕事に対する思いも大きくなるにつれ先の事への不安を感じられて、ご相談の依頼を下さいましたのでご紹介します。
同じような環境で悩んでおられる方に参考にして頂ければ幸いです。
※鑑定例の掲載は、個人情報が特定されないよう配慮・ご本人による文章の確認のうえご了解を頂いております。
ご相談内容
現在会社員として働いていますが、その傍らで若い頃から服飾の技術を持っているので、細々とそちらの方も依頼があれば継続している状態です。
服飾の方でお世話になった方が亡くなり、その意思を継ぎたいという思いで、その方がされていた個人事業を引継いでいて、さらに自分の経験も含め働きづらい方たちのための受け皿となる事業に展開していきたいと思っています。
今現在、ある企画があり、そちらに応募している結果が良ければ、生活のためにしている会社員を辞めてこちら一本に集中したいと思っています。
今の状況や流れを見て欲しいです。
展開されたカード
鑑定結果
まず、この問題を見るにあたり、企画に応募されているとのこと、それに入賞したらというお話ですが、一旦入賞するかしないかは置いておきましょう。
タロットでその結果を安易にお答えするものではないという事と、結果次第で決めるというよりも、ご自身がどうしたいのか、そしてカードからのメッセージはもっと深い部分を読み取る事が重要だと私は考えているからです。
問題の核心の部分に「ペンタクルの6」が出ています。
これは、『与えるものと与えられるもの』を表すカードで、まさに、受けた恩をまた他の人に返すという、今回のご相談内容であるR様の意思そのものが出てきたようですね。
そして、併せてこの問題をご自身はどう見ているのかという所に「ペンタクルの9」が出ています。
このカードは、豊かで実力も兼ね備えた女性の姿で、左手には猛禽類がいる事から知恵も充分に持っていると読みます。
また、一説では鷹匠という見方もするので、しっかりと訓練を受けた状態とも読み取れます。
これは服飾において、社会に出る時期から学校も卒業し、成果と実力を付けているというR様自身の自信と栄光を表しています。
R様の内面を見ていきますと、基盤となる潜在的な部分に「愚者」のカードが出ています。
これは、ナンバー『0』が表すように、何物にもとらわれず、何者でもない。
人と同じでなくて良いというような自由な部分が大きいようです。
そして、顕在意識の部分に「ワンドのペイジ」。
願わくばクリエイティブな自分でいたい。好きな事で身を立てたいと、情熱を持ってワクワクしている若者の姿です。
ここで垣間見たのは、本当は企画の応募結果に関わらず、服飾の仕事がしたいと願っているという事。
ここで過去から近い未来への流れを見ていきましょう。
過去に「カップのキング」が出ています。
とても心の広い情け深い所がありますが、何かを守るために強くあらねばならない人物を表します。
いいよ、いいよでは済まない事もご自身の力で乗り越えて来られたんでしょうね。
心根の優しい方が男性性を発揮して立ち向かうという事は、ご自身も疲弊する事になります。
そんなR様だからこそ、周囲の人の愛情に励まされ、救われたんではないでしょうか。
そしてその愛情を真摯に受け止め、これからはご自身が与えられる人間になるための一歩を踏み出すか留まるかの岐路に立たれたようです。
そこで、このまま行くと近い未来はどうなるかという所に「隠者」が出ています。
これは、世間の常識やルールを煩わしいと思った賢者が、一人になって考えるという意味があります。
哲学するという意味もありますが、哲学というものは答えの出ないものですよね。
そういう意味では答えを求めてはいけないとも読めますが、このままではという事なのでやはり答えが出ないままグルグル回るようなイメージも受けます。
では、どうすればいいんでしょうか。
課題・アドバイスのカードは「ワンドの2」。
このカードは、お城に住む王子が2つの情熱のうち一本を手に取り決意をするという意味があります。
1本は城に留まり安定を目指す。もう片方は、世界を見つめて旅に出るというもの。
どちらのワンドを握るかはR様しだいですが、この王子は旅に出る決意をしたようです。
どんな気持ちが浮かんだでしょうか。
今この問題に対する周囲の状況には「死」のカードが出ています。
死神が出てくるのでドキッとしますよね。
でも大丈夫。この死神も神である事を忘れてはいけません。
古代エジプトでは太陽は毎日一度死んで、次の日に蘇ると言われていました。
何かを終了し、新しいものが生まれると考えると、周囲の方は今の生活を終わらせて、新しい生活を始めて欲しいと思っているのかもしれませんね。
夢と現実の狭間で今一つ踏み切れない部分かもしれませんが、この問題に対する期待や恐れの所に「正義」のカードが出ています。
このカードは、物事を秤にかけ、割り切れない部分を剣で断ち切るという意味があります。
また、正しい判断を表す事もあります。
これまでの流れで、R様が独創的であまり世間の常識やルールに囚われない人物のように感じますので、そういった世間の物差しで判断されたり、批判されたりという事が引っかかるのかもしれません。
そして、仕事に対しても自分の実力に見合った報酬や評価がきちんとされるのかという懸念を感じます。
そこには感情や思惑というものはいらないという気持ちがあるようですね。
そして結果のところに「ワンドのナイト」。
先に出ていた「ワンドのペイジ」が成長して「ナイト」となったように感じました。
私にはキーとなるカードに情熱や熱意を表すワンドのカードが出ているので、本当に服飾の仕事に進むことを望んでいるように思いましたよ。
この熱意はきっと膨らんで形になるような気がします。
何といってもR様の原動力が「情熱」であると確信しました。
それでは、これから気を付ける事を最後に3枚引きましたので見ていきましょう。
「ソードの10」「月」「ソードの5」
ソードは思考や言葉、情報などを表しますが、「ソードの10」は思考の最高到達点、思考し過ぎて身を滅ぼすという風に読みました。
「月」のカードも不安を表します。
先が見えない不安から、ザワザワと落ち着かずにいる様子を表します。
しかし、月からは光が降り注いでいるという事を見失わないでください。
心を落ち着けて見てみると月夜は案外明るいという事に気づくでしょう。
世間とのギャップや、現実の生活の事などいろんな課題が重なり、ついつい考え過ぎてしまっているのではないでしょうか。
不安は未来にしか感じませんよね。
まだ起こってもいない事を考えても答えは出る事もなく、不安が増幅するだけだと思いませんか?
これは他者からの攻撃ではなく、自分で自分を攻撃する事になります。
先の事を考えるのは程ほどにして、今出来る事から行動していくという事が大切です。
冷静になって情報を集めたり、知恵を借りるというのも不安を取り除くにはいいですね。
「ソードの5」が表すように、少しぐらいずる賢く戦略的に物事を進めていきましょう。
例えばアイドルのイメージ戦略は、本当の姿ではないかもしれませんが、悪だとは思いませんよね。
真面目さや率直さは人となりを知ってもらうにはいいですが、作品を見せる創意工夫というものも必要になってきます。
同じ考えるにしても、建設的な事の方が心を擦り減らさず、楽しんで考える事ができるのではないでしょうか。
鑑定のご感想
今回初めて占って頂きましたが、まとまらなかった考えがスッキリ致しました。 慎重に、分かりやすくお話し頂き感謝しております。 今まで迷走していたわたしのこれからのあり方について、 スッと腑に落ちた感じがして希望がみえてきました。 ほんとうにありがとうございました。 とても親身になってアドバイス頂き感謝しております。
鑑定後の考察
今回鑑定していて感じた事は、ほんとに「服飾の仕事が好きでしたくてたまらない!」でした。
こんなに好きな事が出来ない状況というものが、ご本人にどれだけのフラストレーションを溜め、ストレスになっているのかを考えるとほんとに心が痛みました。
会社員生活がどうしても嫌だという事ではないようです。
表面でそう言っていて、実際安心感を貰えるという意味ではそうなんでしょうね。
ですが、無意識の部分ではご自身の本心や進みたい道というものがわかっているので、気付いてと言わんばかりにあらゆるサインを送っていたんでしょうね。
後日談ですが、現在は会社を休職されているようです。
そしてご自宅で出来る服飾の仕事が楽しくて仕方が無いとおっしゃっておられます。
企画の応募は残念ながら通らなかったようですが、今となってはそれはどうでも良くなり、気持ちは独立の方向に決まったようなので、これからのご活躍がとっても楽しみです。
血液が合わないと拒絶反応を起こすように、人生においても同じような事が起こるようです。
特に心身に出るサインは外的要因だと思いがちですが、結局は自分らしく生きられないご自身の問題でもあると私は考えています。
ぜひ見逃さないように、「自分はどうしたいのか」を考えるきっかけにして頂きたいと思います。
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